翼下の最初の潮光
幼鳥を先に見つけたのは方だ。合図に合わせて位置を替える。理解できるまでは、好奇心よりゆっくり進む。

当日の観察
外環の浅瀬から旧潮汐観測所へ向けて内陸側へ進んだ。三つの地点は徒歩か、短距離用の湿地艇で結ばれている。
朝 · 外環潮位標
方が成鳥の翼の下に幼鳥を見つけ、手信号で位置の交代を伝えた。私はその合図に合わせた。
昼 · 水鏡の葦原
翼面の反射から水没した航路標識を判別した。鏡羽潮鷺は離れた場所で静かに餌を採っていた。
夕 · ドーム排水堤
夕暮れ、群れの翼に残照と点検灯が映った。方と並び、渡りの方向を記録した。
棲地の因果
ドームの暖湿排気、海水の流入、旧潮門の圧力放出、水没した金属構造物が、湿地全体に低周波の共鳴を生む。群れが通常とは異なり内陸を向いて並ぶことから、信号源の方向が分かった。
種の行動
鏡羽潮鷺は整備用ブイに集まり、鉱物羽で朝日を反射させて魚を浅瀬へ追い込む。幼鳥は霧のように白く、成鳥は驚くと翼の反射で眩光を放って退避する。
「理解できるまでは、好奇心より足を遅くする。群れが示した方向だけを記録した。」


