旧ポンプの上で響く結晶角
地面の振動紋を読んだのは方。風向きを伝えたのは私。群れはこちらを振り返って警戒した。距離は詰めない。

当日の観察
外環の浅瀬から旧潮汐観測所へ向けて内側へ進んだ。同日の各地点は徒歩か短距離用の湿地艇で移動できる。
朝 · 塩結晶の堤道
方が地面の振動紋を読み、私は風向きを伝えた。群れはこちらを振り返って警戒する。距離を詰めず、そのまま観察した。
昼 · 白塩ポンプ水路
一頭の塩脈角鹿が結晶角を旧ポンプと共鳴させた。方と私は水路の両側から同時に測定し、数値を照合した。
夕 · 鉱草の高台
群れは幼鹿を連れて冠水地を離れた。私たちは先に道を空けた。
棲地の因果
ドームの暖湿排気、海水の流入、旧潮門の圧力放出、水没した金属構造物が低周波の共鳴する湿地を形成する。空洞の角は地下配管の振動を感じ取り、その共鳴が今も動く潮汐ポンプの位置を示した。
種の行動
塩脈角鹿は古いコンクリートやケーブルから鉱物をなめ取り、余分な塩分を背に沿って析出させる。空洞の角で地下配管の振動を捉え、成獣は幼鹿を冠水地から安全な場所へ導く。
「群れを追い立てる必要はない。残された方向を読み、幼鹿が動くときは道を譲る。」


