音砂針エビ
細長い石英質の額角で、膜の表面に付いた微細藻類と音砂を梳き取る。高周波ソナーが届く直前、腹側の淡い青緑色の感知毛が一斉に伏せる。その後、群れは決まったリズムで人工礁の孔へ潜り込む。方やKを威嚇せず、能動パルスが止まれば掃除を再開する。

観察層級沿岸補記
初遭遇地点第 01 · 第01日・浮遊都市影縁ブイ
棲息地黒潮浮遊都市群の下に広がる発光性の藻類エネルギー膜、黒い音砂の堆積地、多孔質の人工礁
派生型態米粒ほどの乳白色の幼体、前腕ほどの透明な成体、藻幕の縁に沿って移動する掃除群
棲地と環境機制
黒潮浮遊都市群の下に広がる発光性の藻類エネルギー膜、黒い音砂の堆積地、多孔質の人工礁。ゆっくり移動する都市は、藻類エネルギー膜の下に数キロメートルの影を落とす。膜の縁には微細藻類、プランクトン、鉱物を含む音砂が集まり、深海アンカーケーブルから剥がれた繊維は多孔質の人工礁をつくる材料になる。このエビは移動する棲地を掃除し、人が音として捉える前の人工ソナーパルスに反応する。
静周波藻幕回廊へ ↗行動と生態機能
細長い石英質の額角で、膜の表面に付いた微細藻類と音砂を梳き取る。高周波ソナーが届く直前、腹側の淡い青緑色の感知毛が一斉に伏せる。その後、群れは決まったリズムで人工礁の孔へ潜り込む。方やKを威嚇せず、能動パルスが止まれば掃除を再開する。
音砂から胞子や堆積物を水中へ戻し、藻類を基盤とする礁の生態系を支える。感知毛を一斉に伏せ、決まったリズムで潜る行動は、異常の原因が通常の黒潮の音ではなく、反復する人工高周波パルスだと示す。
形態と識別
米粒ほどの乳白色の幼体、前腕ほどの透明な成体、藻幕の縁に沿って移動する掃除群
- 生物学的に自然な、前腕ほどの透明な掃除エビの体
- 細長い石英白色の額角とサンゴ色の関節
- 腹側に並ぶ淡い青緑色の感知毛
- 発光する藻類膜を梳く多数の細い遊泳脚
- 高周波ソナーが届くと潜る、攻撃性のない掃除群
観察原則
方とKはエビを追わず、網ですくわず、拘束も持ち出しもしない。自然に剥がれた藻類膜だけを採取し、できる限り受動式センサーを使い、動物の反応を変えようとせず都市側の能動装置を止める。
浮遊都市影縁ブイでは、異常なパルスが届く前に水中の音が薄くなった。方が感知毛が伏せてから信号が届くまでの時間差を測り、Kがブイの能動パルスを止めた。エビは目に見えない人間由来の異常を、読める座標に変えていた。