層光天蓋ガ
ガは方やKに近づかず、捕食行動も見せない。ドームの結露水に含まれる微細藻類と高空の胞子を食べながら、樹冠上を滑空する。Kが試験ループを止めても翅脈は速まらず、ゆっくりと本来のリズムに戻ってから天井を通過する。

観察層級沿岸補記
初遭遇地点第 05 · 第05日・第七回折天井
棲息地回折菌環保護帯内の高い樹冠、ドーム結露層、封鎖結露塔、露光アトリウム、退役光子試験回廊
派生型態今回記録したのは回遊中の成体1個体。幼体は封鎖された結露塔に生息する可能性があるが、今週は遭遇していない
棲地と環境機制
回折菌環保護帯内の高い樹冠、ドーム結露層、封鎖結露塔、露光アトリウム、退役光子試験回廊。多層の半透明鱗粉が、乱れたドーム光を青、赤紫、金の光脈に分け、朝、昼、夕の3段階で光らせる。廃止後も固定露光ループを夜間再生する回廊がその順序を遮り、第七回折天井を通る回遊を妨げていた。ループが止まると、ガの通過が林全体に光を再配分し、保護帯の一日を再同期させる。
回折菌環保護帯へ ↗行動と生態機能
ガは方やKに近づかず、捕食行動も見せない。ドームの結露水に含まれる微細藻類と高空の胞子を食べながら、樹冠上を滑空する。Kが試験ループを止めても翅脈は速まらず、ゆっくりと本来のリズムに戻ってから天井を通過する。
層光天蓋ガは頂点捕食者ではなく、校正者だ。3段の翼光が、回折胞子グモの網の織り直し、脈光耳ウサギの放熱、晶槽ヨロイホリ獣が巣穴から姿を現す時刻、稜冠守巣雉の休息を同期させる。
形態と識別
今回記録したのは回遊中の成体1個体。幼体は封鎖された結露塔に生息する可能性があるが、今週は遭遇していない
- 翅を広げた幅が約25メートルある、巨大なカイコガに似た自然な輪郭
- 象牙白と深い藍色の胴体、柔らかい羽毛状の触角
- 細かい鱗粉に覆われた広大な多層半透明翼
- 順に発光する青、赤紫、金の回折光脈
- 捕食性の口器も攻撃的な威嚇姿勢も持たない
観察原則
方とKはガを追跡せず、おびき寄せず、拘束せず、採取せず、飛行を遮らない。飛行線の外に留まり、撹乱の原因となった老朽設備にだけ手を入れる。記録は遠距離から行い、ガからも林からも何も持ち去らない。
第七回折天井の上で翼が開くと、同じ林に朝、正午、夕が現れた。方が3段のリズムを読み、Kは繰り返し入る妨害を地上の古い露光シーケンスまでたどった。ガは距離を詰めなかった。帰路を塞いでいたのは、都市の残光だった。