潮より先に向きを変える峡湾
群落が同時に向きを変えた。方はしゃがんで殻紋を確かめ、私は濡れた岩に機械式コンパスを置いた。両方が同じ角度だけずれた。

当日の観察
外港部から黒砂の潮線に沿って入り、干潮の間に地熱亀裂まで歩いた。帰りは満ちる水路を避け、高い玄武岩の稜線を通った。
朝 · 黒砂針浜
群落全体が一斉に方向を変えた。方が同心円状の殻紋を調べ、私は機械式コンパスを濡れた岩に置いた。針と貝は同じ角度だけ向きを変えた。
昼 · 磁気藻亀裂
方は非侵襲式センサーで殻の配列、地熱藻帯、コンパスのずれを比べた。私は螺旋状の採食列を乱さない足場だけを示した。群落は見えない線に沿って並び続けた。
夕 · 熱潮標識塔
潮が群落を覆う前に、最後の読み取りが反転した。方はプローブをしまい、私はどの貝にも触れず、高所に標識を残した。
棲地の因果
黒砂の潮溜まり、濡れた玄武岩、青緑色の地熱藻、周期的な磁場が餌場を作り、群落の配列が磁極の変化を可視化する。コンパスも同じようにずれたことから、異常は機器の故障ではなく、峡湾の磁場にあるとわかる。
種の行動
灰燼羅針貝は規則正しい螺旋を作り、地熱藻を食べる。黒銀色の磁鉄鉱殻が見えない磁力線に沿って並び、磁場が変化すると数百匹が一斉に向きを変える。
「故障ではない。私たちがまだこの磁場を読めていないだけだ。明日は、峡湾全体を早く向き直らせるものを探す。」


