閃光より先に来る熱
閃光はまだ来ていない。群れが先に耳を伏せた。方が追うなと合図した。私は退避方向だけを記録した。青緑色とマゼンタの光脈は都市警報より12秒早い。侵入者ではないと示すには十分だった。

当日の観察
胞子雨観測台から低熱歩道を南へ進み、クモの網帯を避けて廃熱果樹園へ入った。群れの足跡は浅い冷却水路を渡って脈光苔斜面へ続く。群れ一つ分の距離を保ち、結露水に沿って冷却水路出口まで下った後、保守歩道から主経路へ戻った。
朝 · 廃熱果樹園
露光シーケンスの前に、すべての長い耳が伏せられた。方は果樹園の外縁にしゃがんで観察する。私は距離を詰めず、群れが冷却水路へ退く方向だけを記録した。都市の警告より先に、耳の光が弱まった。
昼 · 脈光苔斜面
群れが苔斜面を渡ると、腹毛に胞子が付いた。耳の光脈は余分な熱を結露霧へ逃がしている。方は、見えない森を運んでいると言った。滑る斜面で体を支える彼女を見ながら、私は一言だけ返した。運び手を見失うな。
夕 · 冷却水路出口
センサー柵は光る耳をすべて脅威と判定した。方のBCIが読み取ったのは過熱と逃避だけだ。私は柵を受動モードへ切り替えた。群れは二人の間に空けた通路を抜けた。追い払う必要は一度もなかった。
棲地の因果
退役した露光試験装置のシーケンスが動く前に、低レベルの廃熱が高まる。群れは耳の光脈から熱を逃がし、警報の12秒前に冷却水路へ退く。その移動が胞子と種子を水路の向こうへ運ぶ一方、偽の光帯と都市のセンサー柵は、本来なら林床を更新する通路を妨げていた。
種の行動
脈光耳ウサギは電藻ゴケと菌環の若芽を食べる。小群で移動し、偽の露光パルス前に左右の耳を同時に伏せ、霧へ熱を逃がしながら腹毛で胞子を運ぶ。過熱した光を避け、観察者を威嚇せず、空けられた通路を使う。
「今夜止めたのは防衛ではない。誤った判断だ。群れは静かに通り過ぎ、次の森を運んでいった。」


