草斜面に残す道
冷たい霧に隠れ、古い索道支柱は一部の輪郭しか見えなかった。鉱道のそばで蹄跡が途切れ、草の種が落ちている。方はしゃがんで跡を見比べ、私は安全柵の後ろから索道の振動を確かめた。背の低い一頭が霧から現れた。

当日の観察
朝は晶背の草斜面入口で蹄跡と種、索道の振動を記す。昼は低背鉱板の観測台から呼吸と鉱道の脈動を離れて比べる。夕方は雲梯の獣道分岐で古い支線を止めて退き、元からある獣道を開けておく。
朝 · 晶背の草斜面入口
冷たい霧の中、古い索道支柱は輪郭の一部だけが見えた。鉱道の脇には途切れた蹄跡と草の種。方がしゃがんで跡を比べる間、私は安全柵の後ろで索道の振動を測った。霧から一頭の小柄なアルパカが現れた。こぶはない。肩と背には低い角質の鉱化板が沿い、幅広い肺嚢は薄い空気の中で呼吸を支える。二つに分かれた柔らかな蹄は、石段にかかる重さを分散する。短いスゲを食べ、霧の斜面に種を運ぶ。蹄跡のずれは古い鉱道の連続振動と重なるかもしれない。でも一つの跡で山全体の原因は決められない。私は風向き、石段、時刻を記し、前日の手掛かりとも比べた。方に頼まれ、安全な退路も地図に入れた。
昼 · 低背鉱板の観測台
低い角度から見ると、鉱化板は背に沿って幅広く、こぶのようには突き出ていない。冷気の中で、幅広い肺嚢のあたりが呼吸に合わせて上下する。二つ割れの柔らかな蹄は、石の縁の湿った草に体重を分散していた。方と私は観測台の遠くから光学測定値を取り、呼吸の動きと鉱道の脈動を比べた。小群には触れない。外縁の岩で鉱山の滲出物を固定する地衣類、草帯、獣道、上空の風の通り道。それぞれ別の手掛かりだ。朝の記録とも照らし、広い斜面の結論を急がなかった。動物を設備故障の原因と決めつけない。
夕方 · 雲梯の獣道分岐
小群は互いに間隔を保ち、元からある草斜面を進んだ。短いスゲを食べ、霧の中に種を運び、使われなくなった支線は避けている。方と私はその支線を止め、展望台へ退いた。追わず、触れず、群れが自分で通り過ぎるのを待つ。ずれた蹄跡と草の種、低い背板の擦過痕を記し、風、古い鉱道、前日の記録と比べた。退路も同じ地図に残す。補修路を曲げれば、固定された振動を棲地に押し込まずに済む。山には山のリズムがある。設備のほうが道を譲れる。
棲地の因果
補修中の連続振動は古い索道支柱を通って霧の段丘に入り、獣道と上空の風の通り道の観測値をずらしうる。外縁の岩では地衣類が鉱山の滲出物を固定する。蹄跡、種、鉱化板の擦過痕は通り道を示すが、風と前日の記録を比べるまで原因を断定しない。使われなくなった支線を止め、補修路を迂回させて草地を残す。
種の行動
こぶのない小柄なアルパカは幅広い肺嚢で薄い空気の中でも呼吸し、二つ割れの柔らかな蹄で荷重を分散し、短いスゲを食べながら霧の斜面に種を運ぶ。小群でも互いの間隔を保つ。
「退路は地図に残し、草斜面の道は空けておいた。動物が動く前に、設備のほうが曲がれる。」


